第八十六話「ポンチ井上の! ズバリ・プロ野球 '03」


※野球が苦手な人は、読まない方がいいかもしれません。

●2003年の日本シリーズは最終戦までもつれる展開で大満足。ただ、第7戦のタイガースの選手起用だけが不満。ポンチくんが提案する、最終戦ベストオーダーと継投は次の通り。
1(二)今岡
2(中)赤星
3(左)金本
4(右)桧山
5(一)アリアス
6(三)片岡
7(捕)矢野
8(遊)藤本
9(投)ウィリアムス

※DH制度は利用しない

●泣いても笑っても最後の試合。「次の試合に繋がる勝ち方」なんてものは存在しない。先制され気味だった流れをタイガース側に持ってくるには、ウィリアムス→吉野→安藤→リガン で繋ぎ、5回までなんとか0〜1点に抑える。6回からはスクランブル体制の井川、下柳、ムーアでうまく繋げば逃げ切りが可能だった。先発とリリーフを逆転登板させるのは、最終戦に限っては利にかなっているのでは、と考える。

●パの本拠地であえてDH制を無視。ピッチャーにも打たせるのがよかった。今年は伊良部やムーアのヒット、井川の顔面スクイズがチームを盛り上げたことは言うまでもない。無論、いい結果ばかり期待できないが、最終戦のタイガースは継投で勝つしかなかった。打線にピッチャーが入っていた方が代打も出しやすいし、ピッチャー交代のタイミングも掴みやすい。シーズン通りの野球が出来たはずだ。

●伊良部はシリーズで2敗してエーキューセンパンなんて言われてるけど、第6戦で先発しないわけにはいかなかった。星野監督の心境としては、1/3は「恩情」、1/3は「ダメだろうけど投げさせる」、1/3は「もしかしたらやってくれるかも」。第6戦を2勝3敗の有利な立場で迎えたから出来た起用だとも言えるが、登板をもし回避していたら、伊良部の野球人生に関わる様々な気持ちの変化があっただろう。

●阪神もダイエーもシリーズ終了後、退団者や移籍の話題が絶えない。ある意味、近代プロ野球の連覇の難しさが如実に現れていると言えるだろう。特に最近では、メジャー志向やFAなど、選手が環境を変えやすい制度が整ってきている。優勝の満足を得た後、「それを守る」のではなく「では次は何か」というのが最近の考え方なのだろう。巨人のV9や、西武の黄金時代といったような、1チームが何年も優勝を続けるのはしばらく難しいだろう。

●小久保の移籍問題だが、彼が巨人という球団に興味があったのがショック。もしくは彼に年棒を払える球団が巨人だけだったのか。ダイエーは自前で大事に育てた選手をお金で売るようなことはしたくない、というつもりでの無償トレードだったのだろうが、あの企業野球組織の中にあっては、すこし甘ったるい気がしてならない。自軍の選手を大事にできないほど経営が逼迫しているのなら身売りすべき、という意見には賛成である。それにしても、岸川、吉永、小久保と、巨人はホークスの大砲が大好きなのである。そして全て潰しているのである。

●巨人に移籍してきた他球団の4番打者は数多いが、成功した例はほぼ皆無。個人的に小久保には成功してほしいが、清原を早く放出しない限り、彼の成功はない。

●来期はガラリとプロ野球の持つ雰囲気が変わる年になるだろう。ファイターズが札幌へ移転。今後のプロ野球にとって明るい材料だ。これでパ・リーグは北海道から九州までうまい具合に散らばった。パは放映もないし、Jリーグに近い雰囲気を持ったリーグになるだろう。札幌市民はまだファイターズに興味はないようだが、必ず福岡のような地元に根付いた球団になる。ただし、ユニホームやマスコットデザインでコケてはいけない。

●監督も岡田、堀内、落合、バレンタイン、伊東、伊原、と半分が変わる。

岡田監督…星野監督から受け継いだチームを牽引。ファンは期待していないが1年目の原監督のようなキレ味が伺えるハズ。チームを知り尽くし、また主力選手の退団もあって若手の発掘に手腕を発揮するだろう。

堀内監督…小久保やローズを補強で獲得。過剰戦力を乗りこなすには非情采配しかない。

落合監督…本人にクセがあるので、合う選手・合わない選手の差が激しそう。個性的なキャンプや采配が楽しみ。わらかせてくれそう。s

バレンタイン監督…個人的には大ファンである。ツヨシ・シンジョーも獲得して欲しい。マリンスタジアムもかなり快適な球場だ。ただ、西武→横浜の森監督のように、大成功した数年後の采配はうまくいかないことが多いのだ…

伊東監督…密かにプレイングマネージャーを期待していたのだが…それは今後の古田に期待。西武の血が流れているので特に歴代の西武監督との違いはなさそう。逆に言えばそれだけ西武野球が確立し、安定しているとも言える。名門・西武はしばらく続くだろう。

伊原監督
…石毛を切って、レオンにムリヤリ(?)監督させたオリックス、今季まで西武で采配していた伊原を起用。オリックスはいつからこんな球団になったのだ?

●来期のポンチ流プロ野球の見方はこちら! 来期はパ・リーグも注目だぞ。

阪  神
…優勝を達成したが主力が抜けてコーチ陣も一新。03年とは全く違う布陣が吉と出るか、凶と出るか…

中  日
…落合の采配がなんといっても楽しみ。問題の打線は長打力が獲得できるか… もう少し魅力ある球団にしてFA選手を呼び込まないと…

巨  人…戦力過剰をどう乗り切るか。堀内采配も奇抜そうで、先発オーダーも楽しみ。パの打者がセの野球にどう対応するか、見極めるいい機会になる。

ヤクルト…1年おきに強くなったり弱くなったりするスワローズ。古田の後継ぎを見つけないと… ウカウカしてるとラミ砲も巨人に取られちゃうゾ。

広  島…唯一の独立採算球団。既に忘れ去られそうなカープだが、プロ野球から無くしてはならない存在だ。そろそろ優勝を争って欲しい。

横  浜…とにかくギャグのように弱かった2003年。期待の古木と村田をしっかり打線に固定して、打のチームとして甦ってほしい。

ダイエー…日本一を決めたが、直後にチームはガタガタ… お金の問題でスポーツに支障が出るのはいつも悲しい気持ちになる。来期はダイエー最後の年かもしれない。

西  武…絶対にBクラスに落ちない安定感はさすが。ライオンズには「西武野球」というものが選手間に染み込み、受け継がれている。ここ10年で最も変わっていないチームと言えるのでは。

近  鉄…ノリ、元気ないな… 今年ゴタゴタしたからな。でもノリと吉岡のコンビはすごくいいゾ。外人の取り方がいつもうまいので、新たな左の大砲が楽しみ。ブライアント、レイノルズ、ローズに続く助っ人は誰だ?

ロ ッ テ…ニコニコのバレンタイン監督で期待大のマリーンズ。ワールドシリーズを制したのは「マーリンズ」。間違ってはいけないヨ。野球チームとしてはとても魅力があるのだが、なかなかBクラスから抜けだせない。「サブロー」という選手がいることもあまり知られていない。ぜひ優勝争いをして全国区に。ジョニー黒木の復活は必要不可欠。

日本ハム…なんと言っても札幌移転。球場もすばらしい。全員、五郎のモノマネをしながら野球してほしい。ヒルマンの2年目はどうか。戦力は段々安定しつつあるようだが… 札幌のファンが定着すれば強力な球団に成長するだろう。あとは、親会社が食品管理をしっかりすればOK。

オリックス…横浜と競って負けまくった2003年。まるでひと昔前のダイエーと阪神だ。監督はもう少し思いきった起用を見たかったが… 石毛で懲りたか。まず球場名の「ヤフーBBスタジアム」というのをやめてくれ。駅前での宣伝営業は効果あるのか?

今年は年明けにツクバ・総合造形での草野球レポートを皮切りに野球の話題が多かった工作戦記。今この原稿を書きながらアテネ五輪の代表戦(韓国戦)をテレビ観戦しているのだが、これが終わればやっと2003年の野球も終わり。スター選手のメジャー流出で、日本の野球人気が危ぶまれたが、フタを開ければドコ吹くカゼ。阪神タイガース一色の年になりました。さて、来年は…? 意外とプロ野球にとって試練の年だと思うゾ。


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