【中学校の数学・教科書表紙】メイキング

2013年に制作した小学校の算数に続いて、今度は中学校の数学教科書のグラフィックを担当。短い期間でかなり幅広い案を出し、絞り込んでいきました。

教科書表紙は生徒が一年間頻繁に目にするものなので、あまりに強烈でエキセントリックな要素は使わないほうが良さそうです。飽きないように少し抑えめに。教科書を手にして半年とか一年経ってから「あっ、これそういうことだったのか」と気付けるような、ちょっとした秘密の取っ掛かりを画面全体に散りばめておければベストです。消費されるスピードが他の作品よりも遅くなれ〜と念じながら制作プランを立てます。

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かなり幅広い案から絞り込み。
食べ物やロボット・パペットの案もありました。

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いつもの造形です!
パーツによって様々な素材を使用。木材とプラ板。

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プーリーもつくります。これは塩ビとMDF。

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微妙な角度調整と固定をしたいので、あまり使いたくない
ネジを使用。本番ではネジ頭は隠します。ネジはなんか、
現実に引き戻されてしまうんです。

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小さなパーツ。強度の必要な部分はアルミを。

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時々ベースと合わせていきます。

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1〜3年生の配色が難しい!
小学校表紙と違ってオブジェが似通っているので色で差別化を。
でも芝の緑は共通だから使えない! なかなかアタマを悩ませました。

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ハデになりすぎないように同系列の色を組み合わせて。

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建物を作っていきます。
スライスしたパーツをピアノ線に通していく。

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ジャンジャン重ねていきます。
何階建てにしようが我輩の自由です。

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窓のパーツは半透明のアクリルを使用。
ほんの少し透けます。

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ビルによっては構造が違います。
なるほど本物の建物の作り方にも通じるところが…

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屋根付きの建物。

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住宅。

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いくらあっても作り足りません!

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これは何でしょう? 屋根ですね。

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シリコンを流し込んで複製…

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たくさんできました!
なんですかこのソフトクリームは。

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木と植え込みですね〜。とにかく小さい。

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芝や道路を設置していきます。

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裏表紙にもプチジオラマを作ります。
相似や三平方の定理を利用した土地分けです。分かるかな?

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いよいよ撮影!
建物は少し傾いてるだけでも異様な雰囲気になります。
慎重に設置。

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今回もKUROHAカメラマンにいろいろムチャな注文をします。
直球でなくボンヤリと遠回しにお願いするのがコツです。
そして集中を切らして力つきると、うちのSAYAKA氏が
助けれくれます。みなさん、お疲れ様でした!

INOUE

 

祝!日経パソコンオブジェ本 発売決定!

日経パソコンの表紙でお馴染みの個性豊かなオブジェたち。
この度なんと、本になっちゃいました!

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本の発売日は6月11日ですが、現在Amazonにて予約受付中です!

タイトルは『パラレルワールド御土産帳』
歌人・エッセイストの穂村弘さんを迎え、不思議な道具で溢れる
もうひとつの世界へあなたを誘います。
数あるオブジェの中から厳選されたものに対して、
穂村さんにコメントを頂きました。
厳選したとはいえ、オブジェ総数約130個!見応えがあります!

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過去作品を振り返るとともに、
便利なのか便利でないのかわからない、
不思議な世界への旅を楽しんで頂ければと思います。

そして本の発売に伴い、記念イベントも予定しております。
オブジェ制作秘話や穂村さんとの対談もあるかもしれません…!?

イベントに関しては詳細が決まり次第、
ブログやtwitter、Facebookにて告知します。

『パラレルワールド御土産帳』
是非チェックしてみてください★

イシカワ

日経パソコン ─ 9年目突入!

隔週だから1年24号 × 8年 = 192号!
いくらなんでも多すぎるんじゃないかとかけ算し直してしまいました。
もうこれは早く写真集とか展覧会とかせねばなりません。

 


スタイロを積層しておっきなカタマリをつくります。
接着には漬物石が便利。


円柱に切り出し。
端材が結構出ますが、無駄にならないよう使える物は取っておこう。
品薄でスタイロが貴重な時代です。


丸太型にカット!
アイデアノートを読んでいればカットの仕方は分かるよね!


垂直にスジを入れていきます。精度はほどほどでOK。


概形でけました。なかなか樽っぽいです。


木材で栓をつくり、ワイン樽感を出します。


吉竹氏制作の“スマフォ切り出し機”。
羊羹のようなスマフォが切り分けられている瞬間を造形します。
見た目には分からないが、部分によって使う素材がバラバラです。
グニャリと曲ったスマフォは粘土(スカルピー)製、出来上がりの
スマフォは直線が命!なのでMDF製です。そして…


カタマリはボリュームがあるので、プラ板の箱組みです。
同じモチーフでも、形が違うと作る素材がこれだけ異なるという良い見本!
造形が苦手、下手、時間がかかるという人は、素材選びを慎重に行うといいよ。


台やマシンはシンプル。MDFでつくります。
撮るアングルによって印象が違ってきそうなので、撮影当日はいろいろ試そう。


またまたMDFを切り出します。
“くり抜き加工”はめんどうでもドリルで穴を開け、刃を通してから。


カタチを整えます。裏側は作らず、見える面だけでも充分。
なんせ1アイテムにかけられる時間、2〜3日なんだからね!


組み立てた後、表面に鋳物風の凸凹を施します。


丸型回転サインはWindows色と、一応地味な白黒バージョンも用意。
少しエイジング加工気味に。


さて、お次はUSB蓄音機型記録装置…
時間がなくてもうビビりながらやってます。コマ撮りも並行してるし…


なんか定まらないままモヤモヤ進めていきました。
なんとか仮組みまでいったけど全然カタチが納得いきません。
切ったり伸ばしたり、この段階で結構試行錯誤します。


プーリーはアリモノを探したけど無い! プラ板とMDFで適当に作りました。
アンティーク作品のいいところは適当につくっても味になってくれるという
ところです(笑)


化粧品の容器やプラモの余りなど、アリモノ作戦でいきます。


レコード筒部分は塩ビパイプを無理矢理ボール盤にかませて棒ヤスリを
慎重にかけていきます。ただ、スネ毛のようなカスが全然取れなくて、
仕上げが難しい! 塩ビめ。


塗装。
金属っぽいドライブラシと、ツヤの出し入れで硬そうな質感を目指します。


バイクプラモのタイヤパーツも塗装を施せば…!


造形作業より、塗装作業の方が時間がかかる場合が多いです。
じっくりじっくり…

ようやく完成し撮影を終えホッとするのも束の間、もう次号の案出しです。

INOUE

日経パソコン ─ 秋味

隔週刊の日経パソコン表紙もかれこれ8年。
2週間に1つ、アイデア出しと造形制作を長年続けるのが、
とても良いアタマの体操になっています。



アンティークタイプライターのキーボタンを制作。
カットした丸棒と適当なプラスチックリングをくっつけたら…


パテして!


えいっ。多少乱暴な方が古い感じがデマス。
アクリルガッシュのメタリック色はなかなか使えるヨ。


鉄製カバーの制作。MDFは曲がらないので、
無理矢理ジャバラ状にして仮接着します。


ここもパテしてヤスリ!
世の中、細かな矛盾はこうして強引に馴染ませられているものです。


金属や塩ビ、アリモノなど、素材は結構バラバラです。


おっきなボルトネジに粘土を巻いて、ネジをそっと回し抜きます。
そこにキャストを注入。簡単なカタドリです。


カタチを整え、くり抜いて端子をセット。


アキバで買ってきた50円のジャンクキーボード。
お前にだって第二の人生があるのだ。


4色くらいに色分けしたら…


テキトーに並び替え!


MDFを切り分けます。


木工ボンドで接着してハミダシをカット。


角丸にしてピースも用意します。PDF編集をパズルに例え、簡単でしょ、
みんなもやってみようねっていう感じをタブレットPC風に表現。


結構、寄って撮りました。さっ、もうすでに次回の案出しがはじまります!
この日経パソコンの道具シリーズや家具シリーズ、もっといろんな場面で
活用できそうです。雑誌、広告、CM、パンフ、Web、ディスプレイ等々。
オラたちを上手に利用してください。アイデア次第! 早い者勝ち!

INOUE